もう4年に近くになるだろうか。
僕が週に1度は必ず行くCAFEE BARがある。
クラシック音楽が流れ、サイフォン式のコーヒーを入れてくれる珈琲屋。
行く時間は、ランチタイムが終わるぎりぎり前の13:50ごろ。
この時間に行く理由は、人も少なく、注文してまもない時間で料理が出てくることと、ランチタイムが終わる14:00から、一服できるためである。
ランチで注文するのは、ハッシュドビーフorカレーライスとコーヒー(夏場はアイスコーヒー)。
ここのコーヒーは、香りがいい。サイフォン式でいれるので、ドリップ式よりも、ふわっとした香りが広がりやすいというのもあるけど、一番気に入っているのは、コーヒーの持つ「柔らかな苦味」。
少し高いテーブルに両肘をついてカップを両手で包むように持ち、口と鼻の間にもって行くと、ほのかにキャラメルのような甘さと深みが鼻から体全体に広がる感じがする。
忙殺されている日々の中にある至福のひとときを感じられる。
夏場のアイスコーヒーは、渋い深みのある苦さが、ほかの店では出せない味と思える。
ごはん類は、飛び切りおいしいというわけではないけど、僕の好きな味。セットで出てくるサラダのセロリとドレッシングも好き。
この店は、出前も取れるので、近くにある小学館、集英社の編集部から電話がよく来る。「少年ジャンプさん、コーヒー3つでーす」とか、聞こえてくる。
付き合いの深い常連さんになると、マイカップにコーヒーを入れてくれるようである。また、夜はシングルモルトを比較的手軽に飲めるようで、壁には、常連さんのカップと多彩なシングルモルトが飾られている。
常連さんとまでは行かないが、4年も通っていると、僕も顔は覚えてもらえている。
[こんにちわー。」
初老にさしかかったマスターや店員のお姉さんから声をかけてもらう。僕も、「こんにちわー。」と返す。
特に名前を名乗っているわけではないので、
おそらく、僕の名前は知らないだろう。
でも、「こんにちわー」と声を掛け合い、「最近、お忙しいですか?」とか、「夏休みはどこかへ?」とか、「本年のよろしくお願いします」といったちょっとした会話を交わす関係となっている。
今日も仕事の間隙をついて行ってきたとき、ふと、自分の家にいるのと同じくらい、安らいだ居心地の良い気持ちになった。
行きつけの店を持つ。
人によって、好みはいろいろあるから、どこがいいとかいうのはないと思うけど、行きつけの店で好きなものにふれていられる時間をつくることは、もしかすると、生きていくなかで大事なことで、人を豊かにするのかもしれない。
そんなことを思った日だった。